大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(て)19号 決定

被告人 小山英雄

〔抄 録〕

記録によると、被告人は、頭書掲記の被告事件につき昭和五三年一二月二一日当裁判所において懲役五月に処する旨の判決を受け、右判決に対し上告の申立をするため、弁護人である請求人が上告申立書を同月二七日の一二時から一八時までの間に長野中央郵便局より簡易書留・速達郵便(受付番号三一〇m五二八)で送付したところ、右申立書は、上告申立最終日である昭和五四年一月四日を経過した同月六日に宛先である東京高等裁判所に配達されたこと及び請求人は右事実を同月一一日に至って知ったことが認められる。

ところで、郵政省郵務局業務課郵政事務官の電話回答書によると平常時における長野―東京間の書留・速達郵便物の配達所要標準日数はおよそ二日ないし遅くとも三日程度であって、本件上告申立書のように一〇日間以上も要することは通常予想し得ないところである。もっとも、請求人が右申立書を発送した当時は、年末における事務輻輳に加え全逓信労働組合員による全国的な年末争議が実施され、その影響で、一般に郵便業務が遅滞していたことは公知の事実であるから、請求人においても右申立書の到達が遅延することは当然予想すべきであり、到達の有無について当庁に問い合わせるなどし、あるいは右上告申立書を直接当裁判所に持参すれば、優に上告申立期間内に提出することができたとも考えられる。しかし、右争議は、配達業務が遅滞していたものの全く停止していたわけではないので、平常時に比し若干の遅れはあるにせよ、発送後九日目である本件上告申立期間満了の日(昭和五四年一月四日)には到達受理されるものと期待したとしても、それは無理からぬところであり、請求人において右直接持参の措置をとらなかったことをもって、請求人に責むべき落度があったとまでは解されないのである。

そうしてみると、本件上告申立期間の徒過は、専ら郵便局側の事情に基因し、被告人またはその代人(請求人)の責に帰することができない事由によるものであることが明らかである。

よって、本件上訴権回復の請求は理由があり、かつ刑訴法三六三条一項所定の期間内の申立にかかり適法であるから、本件請求を許容することとする。

(高山 中野 田尾)

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